どうも皆さま。こんにちは。こんばんは。
渋沢です。
「ディレクター1年目です。ヒアリングのコツはありますか?」
「駆け出しディレクターだけど、ヒアリングでなにを聞けばいいかわからない…」
「フリーランスだけど、ディレクション経験がなくて、ヒアリングも不安…」
という悩みにお答えします。
今回は、これからWebディレクターを目指す方、駆け出しディレクター向けに、
- ヒアリングのコツと聞くべきこと
- 基本はオンラインで深堀りすればOK
- 新米ディレクターが覚えておくべきコミュニケーション術
上記のテーマで解説していこうと思います。
本記事を書くわたしは、「スタートアップで開発 → Web系企業で大手企業案件を担当 → 独立」といった感じのキャリアを歩んできました。
現在は、Web系フリーランスとして、ディレクションも制作もしてます。
ちなみにスクールで講師をした経験もあるので、ディレクションに関することも受講生に教えてました。
これまでの経験をもとにお話してまいりますので、フリーランスの方にも役立つよう執筆してまいります。
目次
ヒアリングのコツ → クライアントを理解する【聞くべきことは3つだけ】

ヒアリングのコツは、
クライアントが抱える「課題」や「悩み」、「実現したいこと」を引き出して、クライアントを理解することです。
上記をサポートすることが「ヒアリング」であり、ディレクターの重要なお仕事です。
じゃあなにを聞けばいいのか。
聞くべき質問の細部は「新規でサイト立ち上げを希望しているのか」「リニューアルを希望しているのか」によって変わりますが、、、
どのクライアントにも共通して聞くべきことは、大きく分けると基本「3つ」だけです。
ポイント
- だれに?:ターゲット
- なにを?:商品やサービス、ビジネスモデル
- どうしたいか?:事業の目的・ゴール、抱える課題
上記のとおり。
「サイトに関することは聞かないんですか?」と言われそうですが、「サイトのデザイン・配色」、「ドメイン・サーバーの情報」などはオマケみたいなものなので後回しです。
- サイトでどんな機能が欲しいですか?
- どんなの作りたいですか?
- デザインはどんな感じが良いですか?
と聞いても、Webの素人であるクライアントは、「〇〇な感じで」「〇〇っぽく」「おしゃれで今どきっぽく」とか曖昧な回答しか返ってこないですし。
なので、ヒアリングでは、サイトの仕様よりも、クライアントのことを理解することが最優先です。
具体的なヒアリング項目例
「だれに?」「なにを?」「どうしたいか?」を引き出すための具体的なヒアリングは下記です。
- どんな人をターゲットに、なにを提供したいのか
- その商品やサービスを提供することで、お客様はどんな価値を得るのか
- 自社のビジネスモデルで、なにを達成したいのか
- そして、どんなことを実現したいのか
- 目標達成のために、なにをつくりたいのか
という感じで聞いてます。
これだけでもたくさん話してくれる人もいれば、ふわっとした曖昧な回答しか返ってこないケースもあります。
ふわっとした返答しかないときは、もう少し深堀りしてクライアントや業界のことを知ることも大切です。
例えば、
- 「市場規模」と「クライアントの業界におけるポジション」は把握しているか
- サービスや商品の「一般的な相場」と、「クライアントの販売単価」はどれくらいか
- サービスや商品の「製造(開発)過程」はどうなっているか
- クライアントが考えている自社の強みはなにか
- 「これだけは変えたくない」とか「これは大事にしたい」いうこだわりはあるか
- いま取り組んでいることはなにか。「頑張っていること、苦労していること」はあるか
- お客様はどんなときに喜びを感じているか
など
「だれに?」「なにを?」「どうしたいか?」ということを具体的に引き出せると、優秀なディレクターと言えるでしょう。
特に、「どうしたいか?」の部分(事業の目的・ゴール、抱える課題など)は、深堀りして、しっかり理解することが大事です。
ヒアリングシートは必要ない。オンラインで聞けばOKです

この記事を書く前にディレクターのヒアリングについてググってみたのですが、ヒアリング項目はどれも「予算やスケジュールはどうか」「仕様はどうするか」などしか書いてなかったんですよね。
例えば、
- 作りたいWebサイトの種類
- サイトの規模
- サイトに必要な機能
- サーバー・ドメインに関して
- 競合について
- 参考としているサイト
- 更新に関して
- 予算
- スケジュール
- ロゴ、写真、原稿など素材の確認
- 社員数
など
上記はわざわざ会って話すほど優先度が高い内容ではないです。
ヒアリングシートを丁寧につくり込む会社もなかにはありますが、ヒアリングシートは基本いらないです。
「チャットワーク or Slack」を使用して、箇条書きスタイルで聞けばOKですよ。
企業で働く方たちが見てたら怒られそうですが、個人的には打ち合わせもやらなくていいと思ってます。
わたし自身、フリーランスになってからはできるだけ対面の打ち合わせをなくし、チャットツールを使用してヒアリングしつつ、必要に応じてSkypeで深堀りしてます。
対面の打ち合わせをなくしてからは、生産性は圧倒的にアップしましたし、モンスタークライアントも避けられるようになったので、メリットは多いです。
大企業と仕事する場合は、「対面でお願いします」「とりあえず打ち合わせしましょう」と言われたりすることはいまだに多いですね、、、
たいてい打ち合わせが終わったあとは、「対面でやる必要なかったな」と思うことが多いですが…
大企業だけでなく、大半のWeb系企業は、対面での打ち合わせを好みがちです。
なので、ディレクター志望者の方、新米ディレクター向けに、「打ち合わせで使えるコミュニケーション術」をこれから解説していこうと思います。
新米ディレクターが覚えておくべきコミュニケーション術

新米ディレクターが覚えておくべきコミュニケーション術ということで解説しますが、ポイントは「3つ」だけです。
- どんな機能が欲しいかではなく、なにがしたいかを深堀りする
- 深堀りするときのコツは、「代弁」
- コミュニケーションでの注意点は目的を間違えないこと
上記のとおり。ひとつずつ解説します。
どんな機能が欲しいかではなく、なにがしたいかを深堀りする
「どんな機能が欲しいですか?」とか「どんなデザインにしたいですか?」とかは後回しでOKです。
最初の時点でどんな機能が欲しいかを聞いてしまうと、「あれもしたい、これもしたい」という感じで、いらない機能が増えていきます。
どんなデザインにするかを聞いても、
クライアント:「30代女性をイメージして、落ち着いた感じ」
ディレクター:「こんなサイトどうですか?」
クライアント:「良いですね、こんな感じで。」
〜 デザイン完了後 〜
ディレクター:「デザイン完成しましたので、ご確認お願いします」
クライアント:「ちょっとイメージ違ったなー。やっぱりこのサイトみたいな感じが良い」
上記のように、最悪なパターンに陥ることがあります。
もしクライアントが、サイトの仕様やデザインのことばかりを話したがる場合は、「まだその段階ではない」と伝えるのもアリです。
最初のヒアリングでは、基本的に「なにがしたいか」の部分を深堀りしましょう。
深堀りするときのコツ
深堀りするときのコツは、クライアントが伝えたいことを「代弁」しながら、ギャップを埋めてあげることです。
クライアントは伝えたいことをうまく表現できないことがあります。
そういうときに役立つのが、
それはこういうことですか?(代弁する)
↓
つまりこうですか?(ギャップを埋める)
↓
こういうのどうですか?(提案してみる)
上記のように、代弁してから、少しずつ深堀りしましょう。
深堀りして聞くときは、黙って聞くだけでなく、提案をしてみたり、その場で図を書いて説明したり、聞いた内容をメモしておくということも大切です。
打ち合わせが終わった後に、図やメモの内容をすぐに送り、「打ち合わせではここまで決まりましたよー」という感じで、確定したことを確認し合ったほうがいいですよ。
「言った・言ってない」、「伝えた・聞いてない」というトラブルを避けられるので、オススメです。
コミュニケーションでの注意点
コミュニケーションでの注意点は下記のとおり。
質問攻めしすぎない
質問することが多すぎると、ついつい質問攻めをしがちです。
緊張もしていると、どうしても相手が見えなくなります。
もちろん聞くべきことは聞かないといけないのですが、クライアントがなにかを伝えようとしているときは、耳を傾けるべきです。
冒頭でも言いましたが、重要なことは「クライアントを理解すること」です。
ヒアリング項目をすべて埋めることではないので、注意しましょう。
表面だけを受け取らないようにする
例えば、「できるだけ安く」という要望があったとします。
表面だけ受け取ると… → 「安ければどこでもいい」
ということになります。
本来の意味は、
「予算はカツカツだけど、良いサイトが作れるなら多少超えても構わない」
ということかもしれません。
なので、表面だけ受け取らないように、深堀りしましょう。
本音を漏らしやすいタイミングを逃さない
対面の打ち合わせだと、クライアントが本音を話してくれるタイミングがあります。
例えば、すべてのヒアリングを終えた直後ですね。
お互い緊張感ある打ち合わせが終わり、ホッとしたときにお茶を飲む瞬間があると思います。
そのときに、
- 〇〇さんはいつからWeb担当者になられたんですか?
- この商品は素晴らしいと思います。完成までに苦労されたこともたくさんありますよね?
- 〇〇さんはなんでこの会社に入社されたのはいつ頃なんですか? → なぜですか?
など、Webサイト制作とあまり関係ないことも聞いて、クライアントを理解しようとする姿勢を見せることも大事です。
ホッとしたときに聞くと、本音も話しやすいので、予算感や、相見積もりかどうかとかも聞いておくといいですよ。
まとめ:「自信がない…」と言う方へ。自信は必要ないです

なぜクライアントはお金を払ってでも、Webのプロに依頼したいのか。
企業、商品やサービスなどの魅力を伝えたいと思っていても、クライアント自身ではうまくサイトで表現できないです。
だから、プロに相談しているわけです。
新人の頃であれば、緊張してしまうこともあるでしょう。
しかし、クライアントにとって、新米かどうかは関係ないです。
お金を払っているのに、自信なさげの顔をされたら、「任せて平気だったのかな…」と不安になってしまいます。
上司に「自信を持て」と言われたり、自分に「自信を持とう」と言い聞かせたりするかもしれませんが、自信は別に必要ないですよ。
経験がないので、自信がないことは普通です。
自信はいりませんので、まずは「自信のある振る舞い」だけしましょう。
- 聞くこと、話すことを徹底的に書き出す
- 事前に打ち合わせのシミュレーションしておく
- 当日は、姿勢良く、少し声を大きくする
上記のような準備をしておけば、プロのような振る舞いはできます。
最初はみようみまねでやりつつ、1人で打ち合わせに行って、場数をこなすのもアリです。
場数をこなして、経験を積めば、だんだん自信もついてくるので、最初は自信がなくても問題ないですよ。
まずはクライアントを理解するために、引き出すスキルを磨いてください。
ディレクターの面白さは、クライアントのビジネスモデルや収益構造、業界の動向などを知ることができるところです。
知見もどんどん蓄積されていくので、実績を積みながら、楽しんで学んでください。
というわけで以上です。
下記、ディレクターの関連記事です。
どれもわたしの経験がベースなので、お時間あるときにどうぞ。